探し物に中央図書館まで。
ここでは、書籍の「コピー」ではなく「スキャン+電子データ化」というサービスをやっている。有料ではあるけれど、本をまるごと一冊カウンターに出すと、ロボットアームでページをめくってはスキャンして、と全自動の機械を使って一気にPDFなどのファイルに変換して渡してくれる、という仕組みらしい。(使ったことはないのだけれど。)
聞いたところによると、大学図書館などがこの手の書籍の電子化サービスを進めていることの背後には、グーグルやらヤフーやらのネット企業に対する危機感というのが潜んでいるらしい。
というのも、とくにグーグルなどが、「知のインフラ」なり「情報への普遍的アクセス」という彼ら/彼女らの究極目標をお題目に、全世界の文字情報をかたっぱしから電子化する、というプロジェクトをちゃくちゃくと進めているのだが、このままでは「情報への普遍的アクセス」というのがグーグルだとかの一企業によって囲い込まれてしまうことになる。
しかし、そうなると、知識なり情報といった本来公共的であるべきはずの知的財産がいわば私有化されてしまうというか、あくまでシリコンバレーの一企業でしかないグーグル経由でしか知識の獲得経路が確保できないことになってしまうし、知識という公共財を材料に私の企業が利益を独占するという事態は、なんとしても阻止しなければならないだろう。それで、大学図書館とかの「公益性」を旗印にした組織などが「反グーグル」の闘争を積極的に展開中だ、ということになるらしい。
(もっとも、これは人から聞いた表向きだけの話で、大学図書館のなかには外部企業に所有書籍の電子化を委託しているところもあるらしいので、「大学図書館」というのがどこまで一枚岩になって「反グーグル」の闘争を進めようとしているのかどうかはよくわからない。)
何年かまえに、電子ジャーナルの購入費用が全国の大学図書館の予算を圧迫している、という話を聞いたのだが、グーグルのプロジェクトというのはいわばJSTORみたいなサイトの一般書籍版みたいなものを実現しようとしているわけだ。学術雑誌のレベルですら、その購入費用が膨大な額にのぼっているとなると、経済規模としてその何千・何万倍という大きさの一般書籍の閲覧から得られる利益は天文学的な数字になるだろう。
資料検索が便利になるのは歓迎したいんだが、予算の乏しい図書館なんかでは閲覧できる電子書籍に範囲がばかみたいに小さくて、とかいう事態になりそうなのが怖い。
じっさい、現時点でさえ、地方私立大学の図書館なんかで閲覧できる電子ジャーナルの数は、京大とかバークレーに比べて一桁どころか二桁小さかったりするわけだしな。