17日、日曜。

センター試験二日目。

昨日と同じ時間に家をでると、当然のことながら外は真っ暗。

歩いているうちに夜明け。雲ひとつない晴天。

明け方の光で、紫というか青というか、絵葉書にでもでてきそうな色合いのアルプスがくっきりみえる。

かなりの冷え込みで、会場につくころにはヒゲが凍結していた。

朝9時過ぎ。一限目の試験開始直前、配電盤の警報機が作動している、という不吉なニュースが届く。

停電の場合はどうするんだっけ、とあわてて要領を確認していると、不具合がでたのは電気ではなく水周りのほうだという。

氷点下9.9度まで下がった昨晩の冷え込みで、水を屋上のタンクまでくみ上げるポンプのモーターが凍りついたらしい。すでにタンクの水量は空になっていて、このままでは休憩時間にトイレの水が流れなくなってえらいことになってしまう。

急遽駆かけつけてもらった業者さんいわく、

――もともと冷凍庫みたいな北向きの場所だし、ストーブで暖めるくらいしかできないかもしれません。時間との戦いですね。

「信大人文学部、トイレの不具合で試験開始時間が遅れる」、とかそんな事態は避けたいし、「まずは「トイレ使用禁止」の張り紙だな」――「代わりはどうする」 ――「新館のトイレを使おう」――「いや、新館も同じモーターで水をくみ上げているからだめらしい」――「じゃあ生協だ」――「それなら誘導の矢印をはりださないと」――etc、etc――。

本部員ぜんいん、朝から思わぬ大騒ぎをする羽目になる。

そんなこんなで時間がすぎて、一限目終了直前の午前10時30分ごろ。

各所に「トイレ→→」の看板をだし、監督の方々にも「試験終了後に読み上げてください」とメモを差し入れ、「やれやれ、間に合ったかな」と思っていたら・・・。

「キーンコーンカーンコーン♪」と試験終了のチャームが鳴り響いたまさにその瞬間、ガチャっとドアが開き、業者さんが部屋に飛び込んできて晴れやかな顔でこう叫んだ;

「復旧しましたあっつ!!」

・・・。

その一言とともに、トイレ関係の連絡メモは読み上げられる直前にさしとめ。結局、なにも起こらなかったのと同じ状態で休憩時間をむかえることになった。

「なんでそんなできすぎたタイミングで」というか、「無駄足かい」というか、複雑な気持ちがしなくはないけれど、ここは「受験生に影響がでなかっただからそれでいいんですよ」という某先生の言葉が正解なんだろう。

夕方。その後はなにもなく、今年度のセンター試験は無事終了。(後で聞いたら、工学部ですこしトラブルがあったらしい。)

今日は駅前で憂さ晴らし――いや、今日こそ「打ち上げ」――をしてから帰宅。