26日、水曜。

午前。WALLACEの道徳心理学。ウィリアムズの「モラルラック」続き。

ゴーギャンのストーリーは学生さんたちに大不評。

擁護に回ろうとしているJayが気の毒にみえてくる。かれも本来は反ウィリアムズの立場に立っている人なのに。

お昼。Searle主催のSocial Ontologyというグループに参加。哲学に限らず、人類学でも心理学でも、関連文献を多分野横断的に読もう、という趣旨らしい。

参加者も、サールのほかは人類学、経済学、歴史学とバラエティ豊か。女性とノン・ネイティブの比率が高い。

今日のテーマはDaniel Vandervekenという人の論文。会話なりディスコースのformal pragmaticsを作ってみよう、という試みの序論的なところ。

ペーパーを読むのかと思っていたら、ご本人がしゃべりにきている。

collective intentionalityを、direction of fitの観点からタイプ別に区分けしてみよう、というところで集中砲火を浴びていた。

御大サールはまだまだ元気。というか、ケタ違いに頭が切れる。議論が錯綜してくると、すかさずサールが問題状況を整理して、それぞれの立場から発言していた論者に返答するべき質問を準備する、という感じ。

あとは、論点を浮き彫りにするために出してくる具体例がなんとも絶妙。

普通、「どんな天才も会った瞬間に凡人に変わる」というけれど、サールの場合は反対だな。スピーチアクトでも志向性の議論でも、サールを褒める論文というのをあまりみたことがなかったし、アメリカきてまで「過去の人」に会う必要もないかな、と思っていたのが完全に逆転した。

若いころはどんなんだったんだろう。フリー・スピーチで戦ってたころとかはもっとすごかったんだろうか?

演者のVandervekenさんは、やたらとフランス語なまりだし、Universite de Quebecの所属だ、といっていたので、「ひょっとしたら」と思ったら案の定。

一緒に来ていた奥さんともども、「京都のあの人もその奥さんも娘さんも、とてもよく覚えていますよ」ということ。

日本にメールしなければ。

夕方。マーティンのセミナー。

終了後、インディアン・サマーで気持ちがいいし、今日はUCLの流儀で行こう、とみんなでJUPITERに繰り出す。

マイケルとジョン・キャンベルの因縁話で一席。ティム・クレインも顔を出したり。

こわいこわい。