29日、日曜。

午前。なんとなく、部屋の片づけをしたり布団をほしてみたり。

午後。資料調べつづき。わが故郷の先達は、わりとラディカルなことをいう人だったのだとはじめて知る。

「此天地の道理はかようかようなる物ぞ、人の生まるるはかようかようなる物ぞなどと、実はしれぬ事をさまざまに論じて、己がこころこころにかたよりて安心をたて候は、みな外国の儒仏などのさかしら事にて、畢竟は無益の空論に候。すべてさやうな事はみな、実は人の智を以てはかり知るべき事にはあらず候へば、いろいろに申すも、みなおしはかりのみに候。御国の上古の人は、さやうの無益の空論に心を労し候事は、つゆばかりもなく候ひし也」

「儒仏等の説は、面白くは候へ共、実には面白きように此方より作りて当て候物也。御国にて上古、かかる儒仏等の如き説をいまだきかぬ以前には、さようのこざかしき心なき故に、ただ死ぬればよみの国へ行く物とのみ思ひて、かなしむより外の心なく、これを疑ふ人も候はず、理屈を考える人も候はざりし也。きたなくあしき所に候へ共、死ぬれば必ずゆかねばならぬ事に候故に、此世に死ぬるほどかなしき事は候はぬ也」

みもふたもない、というか、救いもなにあったもんじゃないというか。こういう人だからこそ、逆に気違いじみて自分の葬式にこだわったりしたのかもしれんが。

夜。テレビで「坂の上の雲」。

豪華キャストはよいのだけれど、軍服姿の阿部寛をみていると『はいからさん』にしかみえてこない。

本人の責任ではないと思いますが。