Noeセミナー。perceptual expectationを破るような芸術作品の解釈を通して、"backgrund disruption"という形で先週導入した概念枠組みの有効性を試してみようという話。
身体感覚に照らしあわせるとどうしてもありえない構図の写真とか、奇妙な比率で形が歪んでしまっている電話やハンマーの模型とか、日常の生活空間のなかにとつぜん登場する巨大な金属のオブジェとか、いろいろみせてもらう。
しかし、たとえば、派手な交通事故でペシャンコにつぶれた車なんかをみると、個人的には「これは(私が無意識のうちに予想している)<車>ではない」、というふうに違和感というか不気味さを感じてしまうのだが、これだと事故でつぶれた車まで「芸術」の範疇内に収まってしまうことになるんだろうか?
午後。ネッド・ブロック三回目。The extended Mind。
"binocular rivalry"(緑と赤で重ね合わせて描かれた二つの図形を、緑と赤のメガネでみると、網膜レベルでの入力刺激に変化はないにもかかわらず、赤の図形と緑の図形が交互にみえる現象)などの例を使いつつ、チャルマーズたちのいうvehicle externalismの提案に反対してみよう、という話。
最終的には、パットナム/バージの双子地球とか、外的世界のあり方まで含めて認知内容なのだ、という主張を論駁するところまで議論が進んだはずなのだが、いまいちかみあわない。
フロアからの質問も今日はなんだか消化不良ぎみ。
いつものMoses Hallでの懇親会の後、夕食会まで。
self-proteciveなデイヴィドソンは講演会等ではぜったいに手を挙げて質問しようとはしなかった話とか、同じくデイヴィドソンといれかわりでウィリアムズがやってきたころの話とか、時代が変わってNYUがチャルマーズにふられた話とか。久しぶりにうわさばなし中心の夜。