五日、金曜。

午前。道徳心理学。Vellemanの"Love as Moral emotion"。

ピンとこず。つかみどころをつかめなかったらしい。したがって、話の流れにのっていけない。教室中が大笑いしているなか、あわせ笑いでごまかす悲しさ。

夕方。メジャーリーグポストシーズンマッチ。ヤンキースはペケ、松坂もぱっとしない。

テレビだが、球場の様子をみているだけで「アメリカ」を感じる。私には、緑のスタジアムで野球帽にホットドッグ、というのが「アメリカの原風景」になっているんだろう。

ときおり、子どものころに感じていた「空気のにおい」が不意によみがえる瞬間がある。私にとっては「外国=アメリカ」でしかなかったころの記憶もその一つ。

そのころは、「アメリカ」が「格好良さ」の同義語だったわけだ。

"Take Me Out to the Ball Game".

夜。ドイツの友人からOktoberfestに誘われる。会場はSacramentoのGerman Houseというところ。

「ジャーマンハウス」というのは、ミュンヘンからバークレーにやってくるドイツ人留学生たちが住んでいるところ。何代か続けて同じ家を借り続けているうちにそう呼ばれるようになったらしい。

今年は、ジェイコブ、レベッカ、フローリアン、リノというミュンヘンからの四人組が共同で入居していて、「O'zapft is! せっかくだからやろうじゃないか」ということになったらしい。

部屋の中にはバイエルンの紋章と「直輸入」のビア樽。本格的。ホスト役の四人は「ドイツ南部」の民族衣装。

のべにすると、30人くらいは集まったんじゃないだろうか? 歌あり踊りありの大盛況。

参加者の80パーセントくらいがバークレースタンフォードに留学中のBavarian。「オレたちは北の連中みたいにWeissbierなんか飲まないんだ」と、こういう機会に「お国意識」があおられるのは万国共通。

自宅にみんなで集まってわいわい、というのは長いあいだ忘れていたなつかしい雰囲気。ケベックのとき以来かな。

帰り道。深夜でょっとばかり不安だったのだが、街灯はあかるいし車もけっこう走ってるしでまったく問題なさそう。

最近だと、都会は日本のほうが物騒なのかもしれない。