29日、金曜。

午前。家の近所をぶらぶらと散歩。

連休と関係あるのかどうか、今日は道ばたですれ違う人たちに非常によく話かけられる。

途中。田んぼにでかけるとおぼしきおじさんに「こんちは」とあいさつすると、いきなり、

「マミチャントッカ」

と返された。

最近はこちらの方言もそれなりに理解できるようになってきたのだが、これはさすがにお手上げ。

なんとか真意を探ろうとあれこれ努力してみたのだが、何をどう聞いても

「にゃあ、マミチャントッカ」

としか答えてくれない。

最後にはおじさんのほうがあきらめたのか、「まあ、ほんじゃ」ということでことなきを得たのだが、どうにも後味の悪い立ち話になってしまった。

大胆な予測になるが、自分なりに翻訳してみるなら;

「最近引っ越してきたのはお前さんか。まみちゃんとこに住んでるのか」

というようなことをおじさんは言っていたのではないかと思う。

もちろん、なぜ私が「まみちゃんとこ」に引っ越してこなければならないのか、「まみちゃんとこ」に最近だれか引っ越してくるようなことでもあったのだろうか、という疑問が残るが、これは「まみちゃん」がだれであり、「まみちゃんとこ」がどこにあるのかわからないことには解決できない問題なので問わないことにする。

散歩の後半。今度は近所のおばあさんから、「お休みだし、おこもりですか」といわれる。

「おこもり」のボキャブラリーはすでに学習ずみなのでこれにはうろたえない。

ところが、このおばあさんからも衝撃の発言が続いた。いわく、

「今夜は、テレビでプロパンガスがあるのを楽しみにしてますのんや」

と。

まったくもって新人に容赦してくれないというか、この発言もレベルが高すぎて私の手には負えない。

聞き間違いではなさそうだし、「何を言ってるんですかあなたは」と確認するわけにもいかないし。

「途方に暮れる」という言葉はこういうときに使うんだろうな、小学生だったら半泣きになるとこだよな、とか思いながら、「ああ、楽しみですねえ」と調子を合わせてその場を乗り切る。

これまた大胆な予測になるが、テレビの新聞欄をみるに、おばあさんのいう「プロパンガス」は「フィギュアスケート」もしくは「ロイヤル・ウェディング」を意味する言葉だったのではないかと思われる。

王子さまとお姫さまの結婚式だし、そら楽しみですよね。

いやはや、なんにせよ方言とご老人は奥が深い。

参りました。

(<追記>「誤:テレビの新聞欄→正:新聞のテレビ欄」)