8日、日曜。

イメージ 1 朝。国際シンポジウム「戦争と医の倫理」。本来のフィールドからは少し離れるけれど、いきがかり上通訳の肩書きで参加。

打ち合わせのあいまにパネル展示をざっとみる。731部隊を中心に、戦時中の人体実験・生体解剖の詳細を追う、というもの。

日本医学会の公式声明は歴史上一度だけ、それも形式的なもの。今回のシンポジウムも、総会の正式行事にはカウントされない、ということなんだとか。(パネルは小規模なものが豪勢なほうの会場に出展されたらしい。)

医者の世界の暗部。自分の暮らしている世界が申し訳なかったり妙にありがたく感じられてしまったり。これだけ強烈なのをみると、さすがに考えさせられてしまう。私の場合、「無責任」というよりは「気が小さい」というのが事態の正確な描写なのかもしれない。

午後。シンポジウム本番。マスコミまで含めて、250名ほどの参加者。快挙、だな。ビッグネームがやってきているのだが、倫理学関係者の姿はみえず。基本的には医師たちの会合という印象。

スピーカーは、日本の医師代表と満州731部隊罪証陳列館の館長と、ハーバードからDaniel Wiklerさん。形式的には、ウィクラーさん担当の通訳だったのだが、結局H先生にまかせっきりになってしまった感じ。

平房でもグアンタナモでも、そして結局は東京でもワシントンでも、構造的には同じ事態がくり返し起こっている。

質疑応答では歴史的な証言がでたり。

「一日平均二~三人、多いときには五人ほどを生体解剖。子どもがみている前で妊娠中の母親を生体解剖し、後でその子どもは凍傷の実験に使いました」。

英雄ででもないかぎり、普通の人間にはこんなことが「できてしまう」。「そうするほうが普通」になってしまう。ミルグラムの実験をもちだすまでもなく、自分だって決して例外ではない。普通の人間だからこそ、簡単に悪魔的なことがやってのけられてしまう。

もちろん、これは「戦時中」に限った話ではないのだろう。

夜。懇親会の後、ウィクラー、Hの両先生と話したり。「哲学」の世界に戻るとほっとしてしまう。


朝:サンマルコ。昼:お弁当。夜:立食料理。